2024年度 理事長所信

一般社団法人白山青年会議所
第54代理事長
出口 敬一

はじめに

 白山青年会議所の前身である松任青年会議所は、1971年に「この地域を自分たちの力でより良くしたい」という熱い想いを持った当時の青年たちにより日本で460番目のLOMとして創設されました。諸先輩方の「明るい豊かな社会の実現」を目指すという創始の精神は、今日まで変わることなく受けつがれてきました。まちをより良くするために運動を展開して下さった先輩の皆様に深く敬意を表すると共に感謝を申し上げます。白山青年会議所はこれまで時代と共に変化していく様々な課題に向き合い、運動をすることで、地域のリーダーを輩出して参りました。しかしながら、約3年前に世界中を未曾有の危機が襲いました。私たちの生活に多大な影響を与えた新型コロナウイルスの蔓延は、活動制限や事業の変更を余儀なくされましたが、私たちに何ができるのかを考え、模索し手を休めることなく活動を続けて参りました。そして、2023年5月には新型コロナウイルスは5類に移行し、対外向けの事業を制限なく行うことができるようになり、人と人が直接会って活動をすることができるようになりました。40歳になると卒業となる青年会議所の会員数を維持し続けることはいつの時代も課題ですが、特にこの3年間、会員数は減少の一途を辿っており、このままでは白山青年会議所の存続を考えていかなければならなくなります。志を高く持ち活動する会員の力が集まれば、いかなる苦難も乗り越えることができますし、会員同士で切磋琢磨し合うことで地域のリーダーを輩出していくことができます。一人では小さな力でも会員が一丸となれば大きな力となり、より良い地域社会を創っていくことができます。現在、地域のために活動している団体は多くありますが、地域社会の課題に真剣に向き合い、地域のリーダーを輩出することができる青年会議所こそが、より明るく豊かな社会を創っていく可能性に満ちている団体であると確信します。諸先輩方が熱い想いを持って活動し続けて来られた白山青年会議所を絶やすことなく未来へつないでいく必要があります。

白山っ子を育む

 国勢調査による白山市の総人口の推移をみますと、平成17年は109,450人でしたが、令和2年は110,408人と増加しています。その一方、15歳~64歳の生産年齢人口の推移をみますと、平成17年は72,827人であるのに対し、令和2年は63,630人と減少しています。生産年齢人口の減少が進むと、地域の活気の低下が懸念されますので、白山市に新たな賑わいや活力を創出し、魅力を伝えることができる人財が必要です。その様な人財に育んでいくために、子供たちが果敢に挑戦をし、仲間意識やリーダーシップを育むことができる環境を整えていくことが重要です。また、白山市内全域は「山―川―海 そして雪 いのちを育む水の旅」をテーマとする「白山手取川ジオパーク」として、2023年5月にユネスコ世界ジオパークに認定されました。この魅力溢れる地域で暮らす子供たちに、白山市の自然を体験できる機会を提供し、白山市の魅力を直接感じ、郷土愛を育むことができる事業を展開して参ります。また、白山市やその近郊で活動をしている私たち白山青年会議所の会員がこの地域にある魅力・特色をより深く理解し、その貴重な自然や文化・遺産を再認識することで、子供たちにより多くの白山市の魅力を伝えられるようになります。

本気で行う会員拡大

 私が白山青年会議所に入会をした2017年は、私を含めて10名以上の会員が入会し、約30名の会員がいました。定例会に見学者として参加した時、自信に満ち溢れている先輩が多くいて、すごく活気があり一緒に活動すると楽しそうだと思い、入会することを決心しました。2024年の白山青年会議所の会員数は14名からのスタートとなります。さらに12月には私を含めて6名の会員が卒業し、このままでは白山青年会議所を存続が危ぶまれます。この事態を真摯に受け止め全会員が一丸となり会員拡大に取り組んでいかなければなりません。また、地域をより良くするリーダーが多ければ、多いほど地域は活性化していきますので、多くのリーダーをこの地域に輩出し続けていくために、会員数を増やしていく必要があります。会員を増やすためには、まず、入会したいと思えるような団体であることが重要です。魅力あふれる事業の実施をすること、また、人として魅力あふれる会員であること、そして、私たちが本気で楽しめる青年会議所であることが会員拡大につながります。私たちは、明るい豊かな社会の実現に向けて日々活動をしています。私たちの活動をタイムリーに、正しく伝える。地道な活動かもしれませんが、この活動こそが会員のフォロワーシップを生み、共感を得ることが出来ます。私たちがどのような団体で、何をしたいのか、HPやSNSその他あらゆる手段を使い、発信力を高め、私たちのことを理解してもらうことが、会員拡大の第一歩です。そして、全会員が全力で人脈をフルに活用し、20歳から40歳の青年に対しアプローチを積み重ねていくことが重要です。これらを全力で取り組むことにより、まだ見ぬ新たな会員10名の入会を実現します。会員拡大をするためには全会員の行動無くして、未来の白山青年会議所はありません。

すべてが変わってしまったことを変化の機会と捉えて

 2020年初頭に始まった新型コロナウイルス感染症によるパンデミックにより、これまでの日常は消え去り、社会の様相は一変しました。何も気にせず街を出歩くことが、最近になってようやくできるようになったと感じます。2022年に入り、ようやく緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が解除され、少しずつではあるが日常を取り戻せるようになってきたと言われています。ただ、その間にも世の中では大きな変化も起こりました。行政手続きでのハンコレスやZOOMを活用したWeb会議などテクノロジーを活用し、これまで以上に世の中が変化したことは間違いありません。
特にZOOMは私たち青年会議所メンバーとしても多くの活用の場面があるのではないでしょうか。現地で参加しなくてもZOOMを活用すれば、どこからでも会議に参加できるようになったのは非常に便利になる一方、リアルで行っていたときに得ることができた、人と人とのつながりや触れ合いから生まれるアイディア、何気ない会話から生まれていた気づきが少なくなっているように感じます。ただ今後はこのテクノロジーをフル活用した世の中に変化していくことは間違いありません。このリアルの良い部分とテクノロジーを活用した新しい会議や定例会を開催していくことを学ぶ必要があるのではないでしょうか。新しい時代に対して我々が考える新しい価値観や手法を提供することが必要だと考えます。

他団体との交流の重要性

 白山青年会議所は、1971年の創立以来、明るい豊かな社会の実現のために多くの事業を展開してきましたが、構成会員は毎年度入れ替わっており、つなぎ育まれてきた想いを継承していくことが課題となります。2025年は、白山青年会議所が創立55周年という節目の年を迎えるにあたり、私たちは、歩みの原点に立ち返って、積み重ねられてきた歴史を受け継ぎ、更なる高みへと前進させ、次代へとつなげていくことが必要です。設立当初より今日まで、創始の精神である「奉仕・修練・友情」の三信条のもと、一人ひとりがこの地域に対する熱い想いを抱き様々な活動を続けてこられました。今、現役会員である私たちが「地域のため、会社のため、家族のために」日々熱い想いを抱き大切な時間を使い、青年会議所活動が出来ていることは、これまでの諸先輩方の軌跡があるからです。これまでの53年の歴史の中で諸先輩方がどのような想いで活動をしてこられたかを振り返ることで、今後の白山青年会議所のなすべき使命が見えてくることでしょう。また、地域の商工会議所青年部や商工会青年部、白山市役所等の他団体や他のLOMと交流をすることで、様々な連携をすることが可能となり、多くの人を巻き込んだ事業を開催するなどといった幅広い活動をする可能性が広がります。さらに、当会議所は2018年に白山市社会福祉協議会と「災害時における協力に関する協定」を締結しており、白山市内で災害が発生した際に協力できる体制を維持することで、安心して暮らせるまちづくりにつなげて参ります。

創立55周年に向けて

 2020年、白山青年会議所は創立50周年を迎えました。しかしながら、コロナ禍の影響により記念式典を開催することが叶いませんでした。来年の2025年は創立55周年を迎え、10年ぶりに周年式典を開催することになります。関係団体とのつながりを強固にし、これからも歴史を絶やすことなく活動していくために、55周年記念式典の草案を企画し、55周年ビジョンの検証、60周年ビジョンの策定準備を行うことで、白山青年会議所の歩みとその想いを後世へとつなげていきます。私たちは、白山青年会議所の歴史の重みを胸に刻み、リーダーとしての自覚を持って歩みを進め、新たな歴史の一ページを築きます。そのことで、白山市をさらに明るく豊かなまちにする私たちの歩みが積み重なり、世界に誇れる白山市の実現につながると確信いたします。

品格ある会議運営

 私が白山青年会議所に入会した当時の定例会は、とても品格ある定例会だと感じたことを覚えています。机や椅子はまっすぐと並べられており、司会は途中で噛んだりすることなく、非常によいテンポで定例会が進み、セレモニーも大きな声で唱和をされていました。形がすべてでは無いですが、品格ある定例会は青年会議所の良さの一つであり、青年会議所のあるべき姿です。さらに、理事会や委員会において決められたルールが守られ、張り詰めた空気感があり、品格ある会議運営をして参ります。そのような会議運営をすることが地域のリーダーを輩出することにつながると確信をします。

成長の機会を掴み取る

 青年会議所には国内外に様々な成長の機会が用意されています。代表的なものとして、京都会議、サマーコンファレンス、全国大会、ASPAC、世界会議など各地で行われる会員大会があります。また、地区協議会やブロック協議会の事業に参加することも成長の機会といえます。これまで経験することのできなかった新たな成長の機会が広がっています。近年は、コロナ禍の影響もあり、各種大会に参加する会員が少なくなっていますが、これらの大会に参加することで、これまで得られなかった気付きや、エネルギーを得ることができます。今年は多くの会員と一緒に各種大会に参加し、成長につなげて参ります。

 青年会議所活動と社業、プライベートな時間、どれも大切であり、私自身もどのようにバランスをとれば良いのか悩んだ時期もありました。子育て中の会員も多くいる中で青年会議所活動をしやすい環境づくりをすることが大切だと考えます。昨年、宣言された「育LOM」の推進を行ない、会議における時間のルール設定や効率化を進めるなどの検討、WEB会議の推進やJCI日本の組織改革マニュアルを活用し、個々の会員の状況を鑑みつつ一層の生産性を高め、運動を最大化させられる環境の構築を進めて参ります。また、会員の家族へ一層の理解を得るために家族交流会等を開催します。 青年会議所は「人生最後の学び舎」と言われています。青年に対し「成長の機会を提供する」ことが青年会議所の意義であります。会員の資質向上の機会をさまざまな形で提供し、また、会員同士で切磋琢磨することで、会員増強にもつながり、地域を牽引するリーダーを輩出することができます。「成長の機会の提供」を掴み取るかどうかは、会員の意識にかかっています。全会員が多くの機会の提供を掴み取り、1年後に成長していると確信します。

結びに

 激動のこの時代では「現状維持」を目指すと「衰退」をしてしまいます。より良い地域社会を創ろうと、諸先輩方が熱い想いを持って活動をし続けて来られたこの白山青年会議所を未来へつないでいくためには、常に全力で駆け上がっていく必要があります。青年会議所活動をしていると色々な壁にぶち当たることもありますが、力を合わせ乗り越えていくことで、より良い地域を創っていくリーダーとなることができるのです。そのリーダーを輩出することができる組織が青年会議所です。私が初めて委員長をしたときになかなか事業計画書がまとまらず困っていると、他のメンバーに明け方近くまで手伝ってもらい、なんとか理事会で承認をいただくことができ、その事業を開催することができました。その事業を無事に終えることができた時は、苦労が多かった分、大きな達成感を味わうことができましたし、自分自身の大きな成長につながりました。そして、一緒に汗を流した仲間との友情を育むことができました。全力を出しているときには、それを見た周りの人がきっと協力をしてくれます。そして、その仲間と活動をしていると楽しくなってきます。もう限界だと思ったとき、あと一歩踏み出すことで、きっと新しい未来が見えてきます。白山青年会議所の未来を、子供たちの未来を、そしてあなたの未来をより良いものにしていくために、全力で駆け上がっていきます。