2025年度 理事長所信

第55代理事長 山室 純也

一般社団法人白山青年会議所
第55代理事長
山室 純也

はじめに

 物事の始まりと終わりには必ず何かの「きっかけ」があります。一人ひとりが幼少期から大人へと成長していく過程で自分が描いた未来について考える機会はあったと思います。私自身も小学生の頃は絵描き、中学では大工、そして高校生では地域のボランティアに参加したことがきっかけで福祉の道へと変化し、大学は地元の福祉大学に進学しました。卒業後は介護職を10年勤めていましたが、その間に人生は大きく変わりました。大切な家族を3人失い、私自身も生死をさまよう経験をしました。人は、いつどこで何が起こるか分かりません。しかし、これらを経験したことによって、日々の生活は当たり前ではなく、周りの方々に支えられて今日があると強く感じました。この大きな変化があったからこそ、私自身が成長し続けること、そして今、白山青年会議所で、明るい豊かな社会の実現に向けて、未来を創造する、そんな瞬間を迎えています。今置かれている環境に感謝し、私たちが取り組むべき未来に向かって一人ひとりが考動し、躍動することが私たちの使命です。
 2025年度、私たちが行うべき取り組みは大きく分けて2つあります。1つ目は、一般社団法人白山青年会議所の創立55周年を迎えるにあたり、これまで多くの諸先輩が情熱と気概をもって様々な事業や運動を取り組んで来られた軌跡を振り返り、感謝をお伝えし、地域に必要とされる組織へと成長すること。2つ目は、メンバー全員で会員拡大運動に全力で力を注ぎ、一人でも多くの仲間を迎え入れ、メンバー一人ひとりが魅力あふれる人財へと成長すること。
 第55代理事長として、この2つの柱を必ず達成するべく、メンバーと共に邁進していく所存です。

住み暮らす地域を護るために私たちが出来ること

 昨年、元日に能登半島地震が発生し、能登半島を中心に多くの地域で甚大な被害が起こり、住み暮らす街並みが一変しました。その後、9月には再び奥能登を中心に災害級の大雨が被災地を襲い、多くの方が再び被災しました。それでも尚、1日でも早い復旧・復興のために、全国各地の青年会議所から多くの支援が寄せられ、継続的な支援活動を行って参りました。この迅速な対応と行動力こそ青年会議所ならではの強みであり、地域を支える大きな力となっています。また、白山青年会議所では2018年に白山市社会福祉協議会と「災害時における協力に関する協定」 を結んでいます。目的としては、【白山市内で災害が発生した際に協力できる体制を維持することで、安心して暮らせるまちづくりにつなげていく】とありますが、近年、白山市では大きな災害は少なく、地域の方々の防災意識は高いとは言えませんでした。しかし、今回の災害支援を経験したことで、一人ひとりが自分事として捉え、この支援の輪を私たちだけでなく、地域間や他団体との連携でさらなるネットワークを構築し、情報を共有し、住み暮らす市民一人ひとりが防災について考える機会に繋げ、地域全体の防災・減災の意識を高めることが大切です。そして、継続的に支援の輪を広げ、青年会議所のネットワークを最大限活かし、メンバー一人ひとりが「奉仕・修練・友情」のJC三信条を胸に共に切磋琢磨し合える仲間と手と手をつなぎ合わせて、地域に必要とされるリーダーへと成長することが、私たちの地域を支え、安心して暮らせるまちづくりの一助となる、そう確信しています。

歴史を振り返り未来を切り拓く

 第二次世界大戦後の1949年「明るい豊かな社会の実現」を理想に掲げ、戦後間もない荒野だった日本の再建は我々青年の使命であるという覚悟のもと、青年会議所運動が始まりました。その後、白山青年会議所の前身である松任青年会議所は、1971年に自分たちの力で社会をより良くしたいという当時の青年たちにより日本で460番目のLOMとして誕生し、今年55周年を迎えます。しかし、私たちが住み暮らす日本では、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり超高齢化社会を迎え、社会保障費の増大や生産年齢人口の減少など、喫緊の課題が生じています。企業にとっても、働き手や後継者不足で深刻な状況が今後も続いてきます。また、白山市も全国と同様、少子高齢化においては、2023年の推移として年少人口・生産年齢人口は減少傾向、老年人口は2023年時点で増加傾向となっており、私たちの地域も今から未来について考え、多くの市民を巻き込み、現状を伝え、問題解決に尽力し、アイデアの数だけ行動し続ける必要があります。様々な課題について主体的に取り組むことが今の対策となり、未来を創る一助となります。これまで諸先輩方が繋いできた歴史と地域に対する熱い想いに感謝と敬意の念をお伝えし、次世代へと未来を切り拓くことが私たちにとって重要な役割です。

多様性のある時代を迎えて

 私たちが生きる時代は急速に進化を遂げています。特にテクノロジーの進歩は私たちの日常生活に大きな変化をもたらし、その影響力は広がり続けています。しかし、その一方で、デジタル人材の不足や学ぶ機会の減少といった課題が浮き彫りになっており、今後、テクノロジーの活用の有無によっては、格差が拡大して、ひいては社会の競争力が低下する恐れがあります。現状は国が示す『デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会~誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化』において、白山市も2022年より「白山市DX(デジタルトランスフォーメーション)推進計画」を取り組んでおり、行政サービスやデジタル技術やデータを活用して、市民の利便性を向上させると共に、デジタル技術やAI等の活用により業務効率化を図り、デジタル人材の確保・育成等が求められています。私たち青年会議所のメンバーは、これまで以上に事業や運動を取り組む際に、テクノロジーを活用する機会は多くなります。だからこそ、私たちが住み暮らす地域をより良くしていくために、テクノロジーについて学びの場を提供し、それらを活用した地域社会の発展に繋げていく必要があります。

白山青年会議所をもっと身近に

 青年会議所の理念は「明るい豊かな社会の実現」という長期的ビジョンを達成するために、JC運動を展開してきました。しかし、私自身は青年会議所の存在を知りませんでした。私は青年会議所を知ることになったのは2015年でした。これまでも「青年会議所」や「JCI」の名前を見聞きしたことはありませんでしたが、2021年に私も入会して日々活動している中で、地域の方々への認知度が低いことが原因ではないかと考えました。実際に諸先輩方が素晴らしい事業やJC運動を行っていても、地域の方々への認知度が低いと社会に浸透するまで非常に時間がかかります。メンバー一人ひとりが地域との関わりを今まで以上に増やし、組織の活動内容や意義を広く伝えることは重要なミッションです。どんなに魅力あふれる団体でも周知が出来ていなければ、志高い同士や地域の方々に浸透するまで時間を要します。白山青年会議所はどんな団体か、どんなメンバーが居るのかなど、地域の方々への認知度を高めていくために、もっと身近な存在になるよう、従来のJC運動や広報活動だけでなく、時代に応じた手段や発信方法を積極的に取り入れていくことは私たちの存在や活動を住み暮らす地域の皆様が知るきっかけに繋がります。また、それが地域そのものをより深く知る機会にもつながります。白山青年会議所の存在意義を高め、地域にとって必要不可欠な団体へと成長していきます。

創立55周年を迎え

 今年、白山青年会議所は創立55周年を迎えます。私たちが今、白山青年会議所として活動させて頂いているのは、多くの諸先輩方が55年間歩んできた歴史があってこそ今に至ります。白山青年会議所の歴代理事長がどのような想いで松任青年会議所の頃から白山青年会議所を牽引されてこられたかを振り返ると共に、諸先輩方が繋いできた歴史と情熱を今後も地域に必要とされる団体として、メンバー一丸となり、更なる成長を見出せる機会として創立55周年式典を開催致します。また、創立60周年にむけた活動指針でもある「60周年ビジョン」を発表することで、変革の時代に私たち白山青年会議所が進むべき方向性を打ち出します。さらに、白山青年会議所の存在意義を改めて見出すために多くの諸先輩方をはじめ、関係諸団体の皆様と有機的連携を図り、地域の未来の発展に繋げられるよう、魅力あふれる祝賀会を開催致します。そして、創立55周年記念事業は、白山青年会議所の諸先輩方がこれまで事業構築してきたものを受け継ぎ、様々なコミュニティと連携して、社会課題を身近に感じ、健康で生き生きと暮らせるために、活力あふれる事業を展開していきます。記念事業を通じて、白山青年会議所が今後も地域をより良い運動を行えるように、メンバー一人ひとりの成長と発展の機会になるよう基盤を築きます。

活力のある組織運営

 青年会議所は、「自己成長のための最後の学び舎」です。20歳から40歳までの青年たちが地域社会の発展と自己成長を目的として活動しています。その中で、青年会議所のメンバーは毎年役職や方針が変わり、自分に与えられた使命を取り組みながら成長へとつなげていきます。そして、毎月1回メンバーが参加する定例会では、活動報告や情報交換、会員の資質向上を目的としています。その中で様々な機会の提供が与えられます。この機会を受動的に取り組めば、ただの作業となり、自分に返ってくるものは少ないでしょう。しかし、一つひとつの機会の提供について何のためになるのかを考えて行動に移すことが出来れば、物事を主体的に取り組むきっかけに繋がり、ひいては、地域課題を我が事としてとして捉えることで、まちづくり・ひとづくりへと発展することが出来ます。その積み重ねが自分自身の経験と成長の糧となり、自己変革として大きく飛躍すると確信しています。また、青年会議所には、セレモニーにおいて『JCI Creed』・『JCI MISSION』・『JCI VISION』・『JC宣言』・『綱領』があり、私が2021年に入会した時は、諸先輩方の立ち振る舞いから唱和している時の姿が凛々しく、活発ある組織だと感じました。歴を重ねていく中で、各々の意味を理解していくと青年会議所の使命や目標を明確に理解することで、団結力とモチベーションが高まり、メンバー同士が互いに協力し合える環境を構築することが、活力を生み出す鍵となります。そのためには、何よりも健康が資本となります。白山青年会議所としてメンバー一人ひとりが健康を経営資源として捉えることで、個々の健康を配慮し、メンバー全員で生き生きと活動していくことが持続可能な組織として必要不可欠です。また、メンバー間でお互いの成果と成長を認め合う環境を構築し、メンバー一人ひとりがやりがいを感じられる仕組みをもつことで、長期的に意欲をもって活動出来る組織へと成長させます。さらに、SNSの活用や地域の皆様との連携で運動を起こせば、社会に大きなインパクトを与えることが出来ます。少人数だから出来ない、そう言ってやらないのは簡単です。少人数でも出来ることは無数にあります。その中で、白山青年会議所の理念と目標を理解し、目標達成に向けて一丸となることが組織の活力を高め、イノベーションや新しい挑戦に対する意欲が高まり、活力ある組織運営が実現へと成長させます。また、そのような取り組みが地域社会にポジティブな影響を与え、持続可能な地域に貢献していきます。

持続可能な団体を目指して

 2005年2月1日に平成の大合併により松任市・美川町・鶴来町・河内村・吉野谷村・鳥越村・尾口村・白峰村の1市2町5村が合併した白山市の誕生から今年で20年を迎えます。私達の諸先輩方も合併に伴い、松任青年会議所から白山青年会議所へと名称を変え、白山市の歴史と共に歩んできました。私が白山青年会議所に入会したのが、2021年でした。当時の期首会員が21名で、会員数は入会者の数より卒業生の数の方が多く、このまま年月を重ねると、白山青年会議所の存続が非常に難しい現状になります。この組織を持続可能な団体へと繋げていくためには、私たちが住み暮らす地域を盛り上げたい!支えていきたい!という主体的意識をもつことが大切です。そのためには、白山青年会議所の理念と魅力をメンバー一人ひとりが理解して、各々の地域で活動している他団体や20代30代で意欲をもった青年たちとお互いを知る機会を設け、交流することで、メンバー同士の新たな学びや刺激の機会を提供します。全ての出会いは学びと成長の機会へと繋がる、ひいては、会員拡大に繋がる可能性は大いにあります。この取り組みが会員拡大の一助に繋がると確信しています。そして、白山青年会議所が魅力あふれる団体へと発展するために、様々なコミュニティと連携を図り、地域に根付いた運動を取り組んでいきます。また、白山青年会議所のメンバー一人ひとりが人脈をフルに活用して、シニアの皆様からも情報をもらえるような体制を構築して、全メンバーで会員拡大を取り組むことが白山青年会議所にとって最も必要な運動です。まちづくり・ひとづくりにおいて、メンバー同士が資質向上の機会と成長の機会の提供を掴むのも、メンバー一人ひとりの意識が非常に重要です。「会員拡大しなければいけない」ではなく、私たちが、どんなメンバーと一緒に成長したいのか、どんなメンバーが必要なのかを共に考えて行動し、「会員拡大したい」と思えるような組織へ目指すことが白山青年会議所の使命です。

他団体との連携強化を目指す

 石川県には9LOMの青年会議所が存在しており、他に石川ブロック協議会や北陸信越地区協議会、日本青年会議所と国内外に様々な繋がりがあります。ただ、繋がりがあるだけでなく、この連携を自ら求めれば、求める程、志高いメンバーと友情が広がり、自分の可能性は大いに飛躍します。その可能性は自分の行動から生み出せると確信しています。また、白山市においても、地域の垣根を超えて同じ志を持つ仲間として白山市のさらなる発展と有機的な連携を目指していくために、地域を盛り上げていく事が出来るよう白山青年会議所が主導のもと「ALL白山青年サミット」という組織が生まれており、白山市内の商工会青年部・白山商工会議所青年部・白山青年会議所が手を取り合って地域の活動に取り組んでいます。
 私たちは1つの団体では力は小さいかもしれませんが、周りを見れば地域に光を灯す団体は無数に存在します。点が線に、線が面になるよう、私たちの地域を支え、守り、輝かせる事が出来るのは、私たち自身です。

おわりに

 私は今年で入会5年目となります。歴を重ねる毎に学びや出会いが多い反面、困難も多くありましたが、その時支えてくれたのは、活動を共にしたメンバーの存在でした。1人では達成出来なかった大きな事業もメンバーの協力により成し遂げられたことが、非常に心に強く残っており、達成した時は感動したのを鮮明に覚えています。社会人になってから、こんなにも自分が心を動かされたことは後にも先にもごく僅かです。自分と向き合う時間、仲間と向き合う時間、そして地域課題に向き合う時間、この経験が私にとってかけがえのない財産となり、今の私を形成しています。
 今年、白山青年会議所は創立55周年を迎えるにあたり、理事長として、メンバー一丸となり、誇りと責任感を持ち、想いを込めて1年間活動してまいります。多様な時代だからこそ、私たちの心の在り方と行動で未来は無限の可能性を秘めています。地域に必要とされる人財として、メンバー一人ひとりが、様々な価値観や多様性をもつメンバーと触れることで柔軟な思考力を養い、時代の流れに適応し、この地域の社会課題に立ち向かい、失敗を恐れず行動していくことが持続可能な地域を創るリーダーへと成長すると信じています。
 あなたの人生の主人公はあなた自身です。一人ひとりが想い描く未来のために与えられた時間の中で考動し、この地域(まち)を彩る人財へと成長することが私たちの使命です。

2025年度スローガン