
一般社団法人白山青年会議所
第56代理事長
鈴木 誠
決意の原点
私は現在30歳です。青年会議所での活動は、20歳から40歳までという限られた時間を考えれば、残り約10年という時間が残されています。しかし、「まだ時間があるから」と現状に甘んじることなく、今という限られた時間に全力で取り組むことを意識してきました。
この想いを胸に、30歳という節目の年に、自分自身のさらなる成長のためにも、理事長という重責を担わせていただく決意をいたしました。未来を見据えるからこそ、今この瞬間に真摯に向き合い、覚悟を持って責任ある一歩を踏み出すべきだと感じたからです。
まだまだ未熟な点も多くありますが、だからこそ日々学び、仲間と共に成長し続ける一年にしたいと考えております。地域のために、そして青年会議所の未来のために、誠実に、そして全力で取り組んで参ります。
「まだ時間がある」と思っているうちは、全力を尽くすことはできない
― 未来は「いま」の全力でしか変えられない ―
はじめに
日本の青年会議所運動は、1949年、明るい豊かな社会の実現を理想とする志高き青年有志による東京青年会議所の設立から始まりました。共に向上し合い、自分達が住み暮らす地域を自らの手でより良くしたいという理念をもとに、各地に次々と青年会議所が誕生し、1971年には全国で460番目の青年会議所として、白山青年会議所の原点である松任青年会議所が設立されました。
しかしながら、日本は平成以降、「失われた30年」と言われる長期停滞に苦しみ、経済成長は鈍化しました。さらに2020年には新型コロナウイルス感染症の世界的流行が始まり、私たちの生活様式や働き方、価値観に大きな変化をもたらしました。そして、記憶に新しい2024年1月1日、令和6年能登半島地震が発災。石川県の奥能登地域を中心に甚大な被害をもたらし、多くの尊い命が失われ、今もなお、復旧・復興に向けて懸命な努力が続けられています。私たち白山青年会議所が活動する白山市は、直接的な被害は比較的少なかったものの、市内には多くの被災者の方々が避難・移住されており、支援や交流を通じて被災者の方々と接する機会は多くあり、青年会議所としても様々な復旧・復興活動を行って参りました。不安や恐怖の中で過ごす被災者の方々と接し、私たちは改めて地域のつながりの強さ、人と人との絆の力を実感しました。
こうした経験を踏まえ、私たちは昨年度、「防災」や「人とのつながり」をテーマに活動して参りました。そこで改めて、私たち、青年会議所メンバーは常に「地域に必要とされる存在」であるかどうかを問い続けなければならないと考えさせられました。私たちの運動は、単なる一過性の催しではなく、有事のときこそ支え合える強い地域社会の土台づくりであり、社会問題となり得る事案を自ら発見し事前に解決に導くことであり、未来を担う地域のリーダーの育成であり、個としての人間力を磨く学びの場です。
しかし今、私たちは組織として大きな転換点に立っています。会員数は減少傾向にあり、半数以上が新入会員という今までにない体制となりました。多様な背景をもつメンバーが一つの組織として機能するためには、「共通言語」と「共通体験」が不可欠です。ただ一緒にいるだけでは、組織にはなりません。
私たちは今こそ、この地域の未来のために、改めて立ち上がるときです。会員減少や価値観の多様化といった課題もある中、私たちは「必要とされる組織とは何か」を見つめ直し、柔軟に、しかし力強く地域に寄り添った運動を展開していきます。
たとえ一人の力は小さくとも、志を同じくする仲間が集えば、それはやがて大きな原動力となり、地域の未来を担う若者たちが夢を語り、挑戦し、そして地域を牽引するリーダーとして羽ばたいていけるような環境を、私たちが創っていきます。
私たち白山青年会議所は、これからも変わらず、「明るい豊かな社会の実現」という普遍の理念を胸に、地域と共に歩み、未来へと想いをつないで参ります。
妥協なき姿勢 〜必要とされる組織への道〜
青年会議所は、地域課題に能動的かつ継続的に取り組む責任ある組織であり、常に「必要とされる組織」でなければなりません。
その実現のためには、組織としての理念や使命感を内面に深く刻み、メンバー一人ひとりの行動、姿勢、言動に至るまでが地域の方々から信頼され、共感を得られるものでなければならないと強く認識しております。特に例会や委員会といった青年会議所の基盤となる活動こそ、青年会議所の理念や品格を示す舞台です。そこにどれだけ準備・情熱・責任を注ぎ込めるかが、組織の真価を決めます。一つひとつの事業に対して丁寧かつ周到な準備を行い、設えや進行の細部にまでこだわることで、事業の質を高め、携わる全員が成長を実感できる価値ある時間を創り出します。こうした地道な積み重ねこそが、結果として組織力の向上へとつながり、地域社会からの揺るぎない信頼を築く礎になると確信しております。
妥協なき姿勢と青年としての誇りを胸に、常に他団体の模範となるような高潔で効果的な組織運営を追求することによって、私たち青年会議所は、地域社会にとって真に不可欠な存在へと昇華していくものと確信しております。
組織の輪郭を再定義 〜自信と誇りを持つために〜
白山青年会議所は、「明るい豊かな社会の実現」を基本理念に掲げ、地域社会の発展に寄与してきました。しかしながら近年、組織の内外において「青年会議所とは何か」「どういった活動をしているのか」といった問いに対し、明確な説明ができるメンバーが減少している現状があります。特に昨今は、新入会員がメンバー全体の半数を占め、多様な経歴や価値観を有する人財が集う一方で、会としての共通認識や理念の共有が徐々に希薄になってきております。このような状況が続けば、メンバー一人ひとりの活動に対する主体性や自覚が薄れ、ひいては組織としての方向性が曖昧になりかねません。
今こそ私たちは改めて青年会議所の存在意義を再確認し、誰もが共通の言葉で語ることのできる「組織の輪郭」を再定義する必要があります。青年会議所が何のために存在し、何を目的に活動している団体なのかという根幹を明文化し、それを内外に発信することで、会員一人ひとりの行動に自信と誇りをもたらすとともに、組織としての結束力を一層強固なものにできると確信しております。
共感が伝播する組織へ 〜想いを届ける広報力〜
我々がどれほど熱心に活動していても、地域社会から「何をしている団体か分からない」と思われてしまっては、本当の意味での貢献にはなりません。私たち白山青年会議所は、その活動の幅や熱量に対して、地域での認知度が高いとは言えないのが現状です。実際私自身も、当時、先輩に誘われて青年会議所に入会するまでは会の名前も知りませんでした。これは情報発信の課題であると同時に、地域のニーズと私たちの活動が十分に噛み合っていないことの表れでもあります。
言い換えれば、私たちの活動を正しく伝えるシンボルとなる事業が欠けているからこそ、地域に理解されにくい状況が生まれているのです。そこで必要なのは、地域の人々が「白山青年会議所といえばこれだ」とすぐに思い起こせるような、象徴的な事業を築き上げることです。そうした事業は単なる活動の一環ではなく、私たちの理念や想いを地域に伝えるシンボルであり、白山青年会議所の存在意義を分かりやすく示すものです。そうした事業を積み重ねることで、地域の人々に親しみと信頼を抱かれ、やがて「白山青年会議所があるから地域はより豊かになる」と実感していただける存在へと昇華していきます。代名詞となる事業は、私たち自身にとっても誇りを持って語れる拠り所であり、世代を超えて活動を継承していくための精神的支柱となるのです。
さらに、その象徴的な事業を地域にどのように伝えていくかという姿勢こそが、広報の在り方と直結します。単に活動を知らせるだけではなく、事業を通して生まれた感動や学びを丁寧に伝えることで、地域の人々に共感を呼び起こし、白山青年会議所への理解と支持を広げていくことができます。
私たちはこれから、「知ってもらう」ための広報から一歩進み、「共感してもらう」ことを目的とした伝え方にシフトする必要があります。認知される団体となることは、活動の正当性を証明し、会員の誇りを高め、新たな同士を呼び込むための確かな第一歩となるのです。
情熱と行動力で切り拓く 〜新時代の青年会議所へ〜
白山青年会議所は、今や半数以上が入会3年未満のメンバーで構成されています。一見すると経験不足に見えますが、実はこれこそが白山青年会議所の最大の可能性です。固定観念に縛られず、柔軟な発想と行動力を持つ新しい力が集っている今だからこそ、これまでの延長線ではない、新たな価値を創造することができるのです。青年会議所の経験が浅いメンバーたちは、「こうあるべき」という枠にとらわれず、地域の課題や社会の変化に対して、素直な疑問と真っ直ぐな意志で向き合うことができます。その視点は、時として歴の長いメンバーでは見過ごしがちな本質を捉え、従来にない発想で市民に寄り添った事業を生み出す原動力となります。また、同時期に入会した者同士の結束は強く、年齢も性別も業種も立場も異なるメンバーが互いに支え合い、共に成長しようとする気風が組織全体に広がっています。この「同期の絆」こそが、挑戦を恐れず行動するための土台となり、白山青年会議所の未来を創造する力になると確信しています。
そして今、私たちが取り組むべき大きな使命の一つが会員拡大です。志を同じくする仲間が増えることは運動の力を飛躍的に高めるだけでなく、多様な視点と活力を組織にもたらします。しかし現実には、少子化や人口減少、働き方や価値観の多様化、そして青年会議所の認知度不足により、会員数は減少傾向にあります。入会3年未満のメンバーが半数を占めている現状は、大きな可能性である一方、組織の目的や理念の共有ができていないという課題も抱えています。だからこそ私たちは、活動の魅力を的確に伝え、新たな仲間が学びと成長を実感できる環境を整えることで、確かな定着と拡大を実現しなければいけません。
発展途上であるからこそ私たちには伸びしろがあり、経験ではなく、情熱と覚悟をもって行動する団体として、私たちは今、新たな時代の青年会議所の姿を切り拓いていきます。そして、志を同じくする新たな仲間を迎え入れ、その成長を共に支え合うことで、会員拡大を未来へとつなぐ力として、地域に必要とされる組織として歩みを進めていきます。
未来への架け橋 〜地域を支える人づくり〜
地域の未来を創るのは、今を生きる私たちだけではありません。次世代を担う子どもたちや若者たちが、夢と誇りを持って地域社会に参画できる環境を整えることこそが、持続可能なまちづくりの基盤となります。
私が2022年に青少年事業の委員長を務めた際には、地元の高校生たちと共に、「T140 EENS ROCK IN HAKUSAN」と題し、高校生による高校生のためのバンド大会を企画・運営しました。運営に携わった学生の中には、当初は「自分にはできない」と思い挑戦を避けてきたものの、事業の成功体験を通じて「やりたいことには積極的に挑戦していきたい」と考えを改めた学生がいました。また、優勝を機に既に決まっていた就職を辞退し、音楽の道に専念して夢へ挑戦する決意を固めた学生もいました。このように、青年会議所の事業には、人のその後の人生を大きく変える力があります。ゆえに、青年会議所は、単に大人のための学び舎ではなく、未来のリーダーを育成する責任ある存在でなければなりません。
私たちは、青少年が自らの可能性を信じ、挑戦する勇気を持てるような機会を提供します。学校や家庭だけでは得られない社会体験をデザインし、将来、地域や社会に貢献できる人財として成長できる土台を築きます。
青少年育成の活動は、単なる一時的な事業ではなく、未来を見据えた長期的な投資です。地域の希望を育むため、私たちは今後も教育機関や行政、各種団体と連携し、青少年が夢を描き、実現に向けて歩み出せる環境を創造していきます。
受け継ぐ情熱 〜新たな一歩〜
白山青年会議所においては、組織の若返りが進む一方で、青年会議所活動の背景にある理念や、諸先輩たちが築いてきた歴史が、必ずしも十分に受け継がれていない現状があります。だからこそ、私たちは過去から現在へと受け継がれてきた志を、今一度しっかりと学び、自らの中に根づかせていく必要があります。そのために、シニア会員の皆様との繋がりは極めて重要な意味を持ちます。地域の課題に真摯に向き合い、時代の変化に挑みながら青年会議所運動を築いてこられたシニア会員の姿勢と経験は、現役会員にとって何よりの学びです。直接、その知見や想いに触れることは、自らの行動指針や使命感を深める貴重な機会であり、単なる懇親の場ではなく、青年会議所の本質を体感し、未来を見据える視座を得る場として、シニア会員との交流は大きな意義を持ちます。また、世代を超えた対話を通じて、悩みや迷いに対する助言や励ましを得られることは、会員一人ひとりの成長にもつながります。
私たちは、過去の歩みから多くを学び、その学びを次代へと確かな財産として引き継ぐとともに、そこから得た知恵と経験を礎に、未来に向けた新たな価値を仲間と共に創造していきます。そして、その価値を地域に還元し、次代へと継承することで、白山青年会議所が時代を超えて必要とされる存在であり続けることを目指していきます。
60周年ビジョンの推進 〜つなぐ、つなげる、つながる〜
私たち白山青年会議所は、昨年度、創立55周年という大きな節目を迎え、5年後の創立60周年に向けたビジョンを掲げました。そのビジョンとは、「つなぐ、つなげる、つながる」。先輩方から受け継いできた志を現役メンバーが昇華させ、未来の仲間へと確実に継承していくという強い想いが込められています。
60周年は、過去を振り返るだけでなく、現在の使命を再確認し、未来の在り姿を描くための重要な節目となります。私たちはこのビジョンを道標として、人と人、組織と組織、そして想いと想いを結びつけ、持続可能で活力に満ちた地域の未来を築いていきます。
これまでに培ってきた行政や地域団体との信頼関係、災害支援やSDGs推進の経験と実績は、これからの運動を支える確かな基盤です。この基盤の上に新たな挑戦を積み重ね、60周年を地域にとっての価値ある節目とすべく、日々の活動を着実に推進して参ります。
おわりに
私たち白山青年会議所は、先人たちが築き上げてきた誇り高き歴史と、地域を愛する強い志を胸に、この白山の地で歩みを重ねてきました。その歩みは決して平坦ではなく、社会の激しい変化、経済の停滞、自然災害、そして価値観の多様化といった数多くの試練を乗り越えてきた軌跡そのものです。だからこそ、私たちは「明るい豊かな社会の実現」という普遍の理念を決して手放さず、この時代に生きる青年としての責任と誇りを胸に、前を向き続けなければなりません。
そして本年度、私たちは自らの組織としての存在意義を改めて問い直し、「地域に必要とされる組織」であることを、言葉ではなく行動で示してまいります。それは、単に目の前の事業をこなすことにとどまらず、未来を見据えた挑戦と、日々の活動を通じて地域の信頼を積み上げていく不断の努力の積み重ねに他なりません。
また、次世代育成は、未来の地域を支える「人づくり」として、持続可能なまちづくりの基盤そのものです。これらは長期的かつ複雑な課題ですが、だからこそ青年である私たちが先頭に立ち、行動によって示していくことに大きな価値があるのです。
青年会議所の最大の強みは、「志を同じくする仲間の存在」にあります。互いを信じ合い、支え合い、時に厳しい意見を交わしながらも、最終的には同じ目的に向かって歩みを進める。この強固な絆こそが、どんな困難にも屈しない力となります。私たちが情熱をもって行動すれば、その熱は仲間へと伝播し、やがて地域全体を巻き込み、必ずや大きな変革のうねりを生み出します。
私は理事長として、全ての会員がこの組織での活動に自信と誇りを持ち、心から「入会して良かった」と思える一年にします。そのために、私は先頭に立ち、誰よりも汗をかき、誰よりも情熱を注ぎ、誰よりも地域に寄り添います。そして、この白山青年会議所が、地域の人々から「青年会議所があってよかった」と心から思っていただける存在であり続けるよう、全力を尽くします。
この先、どれほど社会が変わろうとも、私たちの理念は揺らぐことはありません。世代を超えて受け継がれてきた情熱を絶やすことなく、未来の仲間たちがさらに高みを目指せるよう、本年度、確かな土台を築きます。困難の先にこそ、地域の希望があります。私たちはその希望の灯を絶やさず、さらに大きく輝かせるために挑戦し続けます。
本年度、白山青年会議所は、地域の未来を切り拓く旗手として、そして世代をつなぐ架け橋として、誇り高く前進して参ります。

